わたしのピンクの錠剤
再会
私は逃げるように話題を変えた。
『親父は殺人犯じゃなかったよ』
親父の無実を真っ先に伝えたかったのは本当だった。
でも、それには美智子先生のことが絡んでくる。
あせった私は美智子先生のことは棚上げにしたまま、親父のことを話していた。
『ホントに?犯人がつかまったの?』
私は『うん』としか答えようがなかった。
「お父さん」
胸のつかえが取れたようにわたしは心から安堵している。
わたしは親父を見上げた。
そして、目が合うと、にっこり笑った。
親父はわたしの気持ちを察したのか、その大きな手でわたしの頭を撫で、私が見たこともないような笑顔を見せた。
私は一抹の寂しさを感じながらも、これでいいんだと言い聞かせていた。