わたしのピンクの錠剤
 
裁判所は隣に小学校や大学があり、中心街とは思えないほど静かなところだった。

親父も行ってみるまでは傍聴できるか心配していたけど、手続きの必要もなく簡単に入れた。

そこは白い壁に囲まれた教室ぐらいの法廷だった。


天井が高いのに狭く感じるのは、きっと窓が無いせい。

中程に木製の柵があり、その手前に椅子が並んでいる。


そこには、すでに多くの傍聴者が腰掛けていた。



被告が否認している殺人事件だから面白そうだ、と近くの人が無責任なことを言っている。



正面には一段高いところに木目の横長の演台のような裁判官席があった。

左側は弁護士席で二人が席につき、書類に目を通している。

右側は検察席で同じく二人が席についていた。


 
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