わたしのピンクの錠剤
 
正面右側のドアが開いた。


制服を着た刑務官に挟まれるように女の人が連れてこられた。

一目では先生とわからないほどにやつれ、痩せ細っていた。

手首に掛けられた手錠が痛々しい。



正面左側のドアが開いた。

三人の裁判官が現れ、皆が立ち上がって出迎えた。


いよいよ、裁判が始まる。



 
裁判長に名前を聞かれ、答えた先生の声は緊張のためか少し震えているように思えた。


検察官が起訴状を読みはじめる。


罪名は殺人並びに死体遺棄。


もちろん、先生はそれを否認し、無実を訴えた。

しかし、裁判長は淡々と裁判を進めていく。


検察官による冒頭陳述が始まった。


 
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