わたしのピンクの錠剤
親父が口を挟む。
「事件について、美智子先生は何とおっしゃってましたか」
「美智子は何も教えてはくれませんでした。被害者の方が夜9時頃やって来た、そう言ってました。でも、知らない人だし、美智子はドアも開けなかったそうです」
「くそっ、」
親父はあの男を責めているというよりは、軽はずみな言動をとった自分を責めているようだった。
「でも、どうしてあの男の後をつけたりしたんだろう」
「い、いえ、そうじゃないんです。美智子は何も覚えてないんです。記憶がふっと途切れたって言ってました。そして、気がつくと身体中、血まみれになっていたそうです」
親父は睨みつけるようにわたしの方を見た。