わたしのピンクの錠剤
 
目に飛び込んできたのは裸像だった。

陰部であり、それをまさぐる指だった。


先生はわたしの手を引いて、足早にその絵の前を通り過ぎた。

それなのに、次々と同じような絵が繰り出される。

先生は泣き出しそうな顔をしていた。


そして、わたしは「分裂したふたつの自画像」の前で、動けなくなった。


 
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