わたしのピンクの錠剤
「愛子の記憶って、断片的、えーと、とっても短いものかな?」
「いいえ。フラッシュバック的なものじゃなくて、連続してます。そう、写真じゃなくてビデオって感じ」
「ハッキリ、クッキリ?」
「普通の記憶と変わりなく、親父の若い時だったり、達哉との結婚生活だったり」
「記憶はそのふたつだけ?」
「いいえ、他にもいろいろ。何かの時に、ふと思い出すって感じ」
「半端な情報量じゃないな。ボキャブラリーも小学生とは思えないし、愛子の記憶を全部そのままコピーしたのかもしれない。いや、妊娠中の母子伝達も考慮した方がいいかもしれない・・・」
「先生、あいかなは?」
「そうか、あいかなが哀哉だとすると、母子伝達ってことはないから、やっぱりDNA内にメモリーがあるってことか・・」
「先生。あいかなが美智子先生に乗り移ったってことは・・」
「ん?それはないな。理論的にあり得ない」