わたしのピンクの錠剤
仮説
それまで黙って聞いていた親父だったが、あきらめた風で立ち上がった。
「あいか、行こう」
私の手を取るとドアに向かった。
「ちょっと、待てよ。まだ、聞きたいことが山ほどあるんだ」
親父は振り向くと笑顔をみせた。
「すいません。私たちはノーベル賞を取ろうなんて思っちゃいないんです。ただ、美智子先生を助けたいだけ。わがままと言われても仕方ありません。甘んじてそれを受け入れます。自分たちの欲する答がここにないなら、ここにいる必要なんてないんです」
「わかった。わかったから、まあ落ち着け」
親父と私をソファに座らせ、立花先生は背もたれイスを後ろに倒し、目を閉じた。