わたしのピンクの錠剤
 
いつの日か、愛子の心が達哉から離れていった理由がわかったような気がした。


立花先生に思い出したばかりの愛子の記憶を話す。


「達哉は哀哉に何か弱みでも握られてるんだろうか。哀哉に勝手放題、やらせ過ぎだと思わないか」

それは私も思うところ。

それが達哉の性格だといってしまえば、その通りなんだけど・・。


「もしかすると、産まれる前に死んだのは哀哉じゃなくて、達哉の方だったのかもしれないね。そう考えると、達哉の行動にも納得がいく」


「それって、達哉は達哉の身体じゃなくて、もともと哀哉の身体だったってこと?」

「いや、あくまで推察の範囲なのだがね」


そんなこと、理屈なんかじゃなくて、私には許せなかった。


 
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