わたしのピンクの錠剤
 
わたしは深い海に潜っていた。

ゆったりとして快適で、深海魚のようにそこにいるのが当たり前だった。



その時、強く抱きしめられて苦しくなり、ふっと我に返った。



「大丈夫、大丈夫・・。心配しなくていいから・・」


先生は骨が折れんばかりにわたしを強く抱きしめていた。

「せんせぃ、いたい」


わたしの声を聞きつけると先生は背中に回した手を緩め、その手でわたしの肩を抱き留めた。

そして、猜疑のまなざしで、わたしの瞳をのぞきこむ。


先生の目からみるみる涙があふれ出し、わたしの腰を掴んだまま、泣き崩れてしまった。


「せんせぃ・・」


 
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