わたしのピンクの錠剤
 
「そんなはずはない。受精後の記憶なんてあるはずがないんだ」

立花先生は頭を抱えた。

それでも、新しい理論を構築しようと、ブツブツ独り言を繰り返している。



親父はもっと悲惨だった。

「愛子が本当に愛したのは俺だと思っていたんだけどなぁ」


親父は深いため息をついた。


「本当は俺のせいだと思ってたんだ。

俺のせいで愛子は達哉を殺したんだと思い込んでいた。

だけど、そうじゃなかったんだなぁ。


まあ、これで良心の呵責に苦しむこともなくなるけどな」



私はソファーに腰を沈める親父の肩に手を置いた。

「おまえ、愛子そのものだったんだな」



私は首をふった。


 
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