わたしのピンクの錠剤
 
長い階段を駆け下りると曇天の空から雨が涙のようにこぼれ落ちてきた。

『待って。お願いだから、待って』


ようやく私の声を聞きつけて、わたしは立ち止まった。



『わたし、もうだめ。美智子先生に、美智子先生に・・・』

『違う、違うの。私のせいなの』




私は九十九里での出来事をわたしに話した。

包み隠さず、美智子先生に来ないでって言われたこと、病院を飛び出し川に飛び込んだことまで、覚えていること全てを話した。

そして、美智子先生にもらった手紙をそらんじた。


『もう二度と来ないでください。

先生はもう、あいかちゃんとは会えないのです。

あいかちゃんのことは大好きだし、これからもずっとずっと大好きだけど、もう二度と会えません。

どうか、わかってください』



わたしの瞳から涙がぽたぽたこぼれ落ちた。



『なにをしたの。美智子先生に何をしたの』

『わからない。私にだってわからないのよ』

『それじゃ、どうして会えないなんて言うの?』



私はきっとなにかあるのよ、としか言えなかった。


 
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