わたしのピンクの錠剤
裁判所の長い階段を美智子先生のお母さんが下りて来るのが見えた。
そして、息を切らせてわたしのところに駆け寄ると、膝をついてわたしを抱きしめた。
「あいかちゃん、ごめんね。本当に、ごめんね」
美智子先生のお母さんに促され、わたしはとぼとぼ歩きはじめた。
そして、手を引かれて、裁判所の長い階段を上っていく。
「せっかく来てくださったのに、ごめんね」
法廷の前にあった長椅子に美智子先生のお母さんとふたり腰掛けた。
「自分の子供みたいに可愛がってたあいかちゃんだもの。何か理由があるはずよ」
わたしはその言葉を否定するように、首を横に振る。
先生のお母さんはわたしの肩に手を掛けた。
「あいかちゃんだけに話すことだけど、・・」