わたしのピンクの錠剤
 
あれは美智子が高校生のときだった。


本当に突然の話だったの。

そんな素振りは、全然見せなかったし、だからこそ、にわかには信じられなかった。



「妊娠した」

美智子はそう言ったの。

しかも、産むつもりだって。


もちろん、私は反対したわよ。

まだ、高校生なのよ。

相手の男の子も高校生だったし、ね。



「収入もないのにどうやって子どもを育てるっていうの。

高校を中退して働くですって?

今時、高校を中退してどんな仕事があるっていうの。

相手の男の子にも将来の夢があるだろうに、美智子は後悔しなくても、相手の男の子は絶対に後悔するよ」



結局、わかってくれた。



中絶したの。


まだ4ヶ月だった。


あの時、産んでいたら、あいかちゃんと同じぐらいの年になっているんじゃないかしら。


 
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