わたしのピンクの錠剤
「産まれなかった子供とあいかちゃんを重ねちゃだめよ」
あの日、九十九里浜の病院で、あいかちゃんが病室を出て行ってから、私は美智子に言った。
美智子は涙をポロポロ零していた。
「わかってる。
わかってるの。
産まれなかったんじゃなくて、私が殺したってことも。
悟くんのためだなんて言いながら、本当は自分のためだったことも。
だから、あいかちゃんだけは絶対に助けたいの」
私には、その言葉とあいかちゃんを追い返した事とは矛盾しているように思えた。
そして、その心配が現実になってしまった。
美智子の言葉が、あいかちゃんを死の淵にまで追い込んでしまった。
本当にごめんなさい。
でも、あいかちゃんの事故で美智子は変わった。
あいかちゃんが助かったと聞いて涙を流して喜んでいた。
そして、死ぬことばかり考えていた美智子が生きることを決めたの。
あいかちゃんを守るために戦うって言ったのよ。
そして、あいかちゃんを守ることが、美智子の生きる支えになったの。
だから、さっきのことだって、何かきっと、あいかちゃんを守るためなのよ。
ね、わかってあげて。