わたしのピンクの錠剤
 
先生のお母さんは法廷に戻った。


わたしは長椅子に座ったまま法廷のドアを見つめていた。

私の頭の中では同じ言葉が繰り返されていた。


 わたしを守るため

 わたしを守るため

 わたしを守るため

       ・
       ・


あの時、私を嫌がったのも、わたしを守るためだったっていうの?

わたしを嫌がったんじゃなくて、わたしを近づかせないためだったの?



『ねえ、どうして美智子先生はわたしを守るためって言いながら、わたしが近づくのを嫌がってるの?』


わたしと私の思いがつながった。


『美智子先生はわたしを嫌がってるんじゃない。

あいかなをわたしに近づけないようにしてるのよ。

二度とあいかながわたしに戻らないようにって』



『ねえ、どういうこと?』



『あいかなが美智子先生のところにいるのよ』



わたしは迷うことなく立ち上がった。


 
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