わたしのピンクの錠剤
緊迫したやり取りにわたしは腰掛けるのも忘れて見入っていた。
『ユーカイって何?ねえ、ヨーシエングミって何なの?』
わたしが不審に思うのも無理はない。
親父だってわたしのことが心配になったんだろう。
わたしがいないことを確認しようと振り向いた。
じっと親父を見ていた美智子先生もそれにつられるように振り向いた。
美智子先生の瞳がわたしを捕らえた。
先生はすぐに目をそらすと、後ろにいる弁護士の方を向いた。
刑務官はそれを許すまいと肩を押さえつけ、正面に向きを変えさせる。
でも、先生は抗う。
「どうしてあいかちゃんがいるのよ」