わたしのピンクの錠剤
そんな美智子先生が不意に刑務官を払いのけるように立ち上がった。
そして、懐かしそうにわたしを見つめる。
「あいかちゃんに諭されるとは思わなかったなぁ」
先生は更に何か言おうとしたが、隣の刑務官に押さえつけられる。
その時だった。
「おまえら、すっこんでろ」
とても美智子先生とは思えない怒号が響いた。
違う。美智子先生じゃない。
美智子先生の姿をしたあいかなだ。
やっぱり、あいかなはそこにいて、美智子先生を犯罪に巻き込んだんだ。
とうとう姿を現したあいかなは、その矛先を裁判官に向けた。
「おまえらに本当のことを教えてやるよ」
猛々しく言うあいかなを両脇に立つ刑務官は問答無用で引き留めた。
あいかなは激しく抵抗したが、所詮は美智子先生の身体。
刑務官に罵声をあびる声も虚しく、無理矢理イスに着かされた。
あいかなは裁判官を睨みつけたまま、微動だにしなくなった。