わたしのピンクの錠剤
あいかなの記憶
裁判官が崩れるように倒れた。
同時に圧迫感とも緊縛感とも違う、何とも言えない窮屈な感覚で、私の心は包まれた。
以前には感じた事のない感覚。
きっと、何かが違ってきている。
『裁判長のやろう、どうして逃げるんだ。俺の話を聞けよ』
あいかなの興奮はなかなか収まらない。
『あいかな、あいかな』
ずっと語りかけていたわたしの声がやっとあいかなに届いた。
『なんだぁ?俺の声が聞こえるのかぁ。すげえな、あいかちゃん。ちゃんと自分と向き合えるようになったんだ』
あいかなに言われて初めて気がついた。
私やあいかなが変わったんじゃない。
わたしが変わったんだ。