わたしのピンクの錠剤
 
私の心を掴んだまま、あいかなは笑いだした。

『ハハハ、こいつはいいや。愛子、生きてたんだぁ』

『そんな馴れ馴れしくしないでちょうだい。私はあなたとは違う』


『まあ、そう、とんがるなよ』

『とんがってるんじゃない。私には確かに愛子の記憶があるけど、愛子そのものってわけじゃない』


『へぇ、そうなのかい。っていうか、本当にそう思ってるのかい?』



私は言葉を失う。

『本当はわかってんだろ。愛子だって認めっちまえよ。愛子で何が悪い。俺が哀哉でおまえが愛子、それでいいじゃないか』


『やめて、やめてちょうだい。あなたに何がわかるって言うの。

人の身体を乗っ取って、人殺しを繰り返してるあなたと私をいっしょにしないで』




『・・そうか、そうだな』


するりと私の心からあいかなの手が離れた。


 
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