わたしのピンクの錠剤
 
『ごめん、言い過ぎた』

『いや、いいんだ。だけど、繰り返してるわけじゃないんだ。達哉は決して俺が殺したわけじゃない』


『もう、嘘はやめて』

『嘘じゃない』


私は憤りを通り越して、哀しくさえある。

『お願い、わたしにもわかるように教えて』


わたしの悲痛な叫び。

わかってる。
ちゃんと、わかってる。

知ってることは全部話す約束だ。

でも、どこから話せばいいのか、言葉に詰まる。


すると、あいかなが私を制した。


『あいかちゃんにはお父さんがふたりいる。

ひとりは達哉で、もうひとりは小田健一。

ふたりともお母さんが愛した人だ。

そして、あいかちゃんのことを誰よりも愛してる人だ。

今はそれだけ知っていればいい』


 
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