わたしのピンクの錠剤
わたしが寝静まるのを待って、私はあいかなに13人の秘密のことを問い詰めた。
『最初のそれは、愛子と知り合ったのがきっかけだった』
あいかなは、とつとつと語りはじめた。
本人を前にして言うのもなんだけど、あの頃の俺は愛子に夢中だった。
愛子の何気ない素振りに一喜一憂していた。
愛子への思いを告白するか、しないかでずっと悩んでいたんだ。
そして、やっぱりその思いを愛子に伝えようと決めたとき、最初のそれが起きた。
俺がふたつに分かれたんだ。
きっかけは告白に賛成か反対かだったが、二人の俺はいつの間にか全く性格の違う二人に変わっていった。
つまり、達哉と哀哉のスペースにひとり加えて、三人で住むことになったんだ。
当然、俺たちの居場所は狭くなってしまった。
そればかりか、俺の分身は分裂を繰り返し、その度に俺たちの居場所はどんどん狭くなっていった。
そして、最終的に俺は13人に達していた。
どうしてなのか、愛子は俺のことだけはわかった。
そして、俺以外はみんな達哉だと思っていたんだ。