わたしのピンクの錠剤
 
次の日、美智子先生といっしょにランドセルを背負って病院に行った。


わたしにとって、生まれて初めての病院だった。

手続きは美智子先生がしてくれた。


しばらくすると大きな声で名前を呼ばれた。

近くにいた人など、わざわざ振り向いてわたしを見た。

ちょっと恥ずかしかった。


病院の先生は男の人だった。

白くなった髪の毛を堅く後ろで一本に結び、彫りの深い顔からは想像できない甲高い声を出した。


「記憶が途切れたんだって?」


 
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