わたしのピンクの錠剤
私は心を羽交い締めにされた気分だった。
断末魔の達哉の顔が脳裏に浮かんだ。
達哉は浮気をしていなかった。
そればかりか私が浮気をしなかったら達哉が死を選ぶこともなかった。
ちがう、そんな生半可なことじゃない。
『私が達哉を殺したようなものなのね』
『違う。愛子は関係ない。あれは仕方なかったんだ』
『うん、わかってる。わかってるけど、私が達哉を殺したのよ』
『違うね。全然違う。愛子は人を殺すってことをわかっていない』