わたしのピンクの錠剤
『いっしょに、ここから出て行かないか』
そう言い始めたのはあいかなだった。
私もそう思っていたし、もうひとりのワタシもそう思っていた。
『みんな思いはいっしょだったんだね』
重くのし掛かるどんよりとした空気を誤魔化すために、少し笑った。
将来の姿を想像できなかった。
『ま、俺なんか生きる価値のない男だしな』
『それを言うなら私だって達哉を殺したようなものだよ』
『ワタシだって、そう。達哉の苦しみをわかってあげられなかった』
三人にとって、あいかを守ることが唯一の存在理由だった。