わたしのピンクの錠剤
 
さっきから何となく感じていた胸を締め付けられるような哀しみが、どっとあふれてきた。


『おねがい、おいてかないで』

『あ、あいかちゃん』

『聞いてたの?』

『うん』



『寝たふりしてたな』

『おねがい、出て行かないで』


『そうか、聞かれちゃったか。そうだよな。だけど、仕方ないんだ。そのリスクをあいかちゃんに負わせるわけにはいかないんだ』

『リスク?』

『みんながここにいると良くないことが起きそうなんだ』

『そんなことない。ぜったい、よくないことなんて、おきない』


『そうかもしれない。だけど、起こるかもしれない。いや、起こる可能性が高いんだ』



『ううん、ちがう。そんなことない。

わたし、いい子にするから。

ちゃんと学校にも行くから。

ねえ、おねがい。ひとりにしないで』




『あいかちゃん・・・』


 
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