わたしのピンクの錠剤
ふいに親父の足が止まった。
親父の視線の先を見ると、視界が開け市街地を一望できた。
「あぁ、きれい」
親父とふたり、その景色に見とれていた。
いや、親父とあいか、あいかなとあいこ、それにアイコの5人全員がその景色に見とれ、しばらく動けなかった。
『ワタシ、そろそろ行こうかしら』
『ちょっとぉ、頂上についてから、いっしょに行こうよ』
『うん。でも、やっぱりここから一人で行くことにする』
『どうして?』
『頂上って、なんか終焉の地みたいで嫌なんだ。二度と達哉に会えない気がするじゃない』
『そうかな』
『そうかなじゃないでしょ。二人にあてられっぱなしで、やってらんないのよ』
『そうくるか。ごめんね。でも、やっぱり私はあいかなといっしょに頂上から旅立とうと思う』
『うん、愛する人といっしょがいいよ』
『私たちさ、愛する人が違ったから分かれたんだと思わない?』
『そう、そう。ワタシもそう思ってた』