わたしのピンクの錠剤
「あっ」
「出てったのか」
「うん、アイコがひとりで行っちゃった」
「あいかなはどうした」
「まだいるよ」
「そうか」
「お父さん、あいかなのことをわるく言わないで」
「わかってる。わかってるけど、あいつは人殺しなんだぞ」
「そうだけど、そうなんだけど、わたしのホントのお父さんなんだよ」
「バカ、なに言ってんだ。あいかのお父さんはな、・・本当のお父さんはな・・・」
親父はそれに続くはずの言葉を飲み込んだ。
そして、向きを変えるとまた歩き出した。