わたしのピンクの錠剤
 
男は馴れ馴れしくわたしに言葉をかけてきた。

「新しいお母さんができたのかい」

わたしはチラッとその人を見て、また目を伏せた。

「それにしてもお母さんにそっくりになったな」
「えっ、」

「先生は、元気にしてるかい?」

(・・先生?)

「あぁ、そうか。もう医者じゃなかったな。お父さんは元気かい?」


わたしは視線を合わせることもできずに、ただただ混乱してずっと下を向いていた。


 
< 26 / 264 >

この作品をシェア

pagetop