わたしのピンクの錠剤
エピローグ
風が舞い上がり、あいかは立ち上がった。
そして、空を見上げ、風の音に何度も何度も振り向いた。
「みんな出ていっちゃった」
「そうか」
あいかは名残惜しそうに真っ青な空を見上げている。
「やっぱり、あのふたりはあいかの本当のお父さんとお母さんだったのかもしれないな」
「ううん」
あいかは遠慮がちに首を横に振った。
「寂しくなるな」
その言葉がきっかけだった。
せきを切ったように一気に思いがあふれた。
あいかの肩は小刻みにふるえ、顔はゆがんだ。
そして、視線を落とした瞳からは止めどなく涙がこぼれ落ちた。
「わたし、わたし、こんなに、さみしいなんて、思わなかった」
しゃくりあげるように言うあいかをお父さんは抱きしめ、あいかの涙を指でふくと、あいかのおでこにキスをした。
「まだ、近くにいるんじゃないかな」
あいかは黙ったまま、頷いた。
でも、本当はお父さんの久しぶりのキスに驚いていた。