わたしのピンクの錠剤
「お母さんを知ってるの?」
わたしのその言葉を聞くと、男は待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「ビンゴ!」
男は小さくそう呟き、悪魔がのり移ったような顔をした。
わたしは悪い予感に包まれ、それはそのまま後悔に変わった。
「まさかとは思ったんだけどなぁ、お嬢ちゃん。ホントにあの時の赤ちゃんだったとはね。へへ、興奮するなぁ。それにしても偶然とは恐ろしいもんだな」
男はわたしの耳元でそう囁くと、わたしの肩をさすった。
そして、もう用無しとばかりに肩をポンポンと叩き、わたしの前から消えていった。