わたしのピンクの錠剤
母子健康手帳を見つけたことは、偶然を装った。
しかし、わたしと入れ替わりにお母さんが死んだと言われたことは正直に伝えた。
「そうか、母子手帳を見たのなら仕方ないわね」
「・・・」
「残念ながら、あたしはあいかちゃんのお母さんじゃありません」
「えっ?」
「縁があって、書類上はお母さんってことになってるけど、本当は頼まれただけなの」
「でも、・・」
「だから、あいかちゃんのお母さんのことは、何も知らないの」
「どうして?どうして、おかあさんじゃないの?」
わたしは言われた言葉の意味がよくわからなかった。
わかったのは電話の先の人はお母さんじゃないってこと。
わたしがひとりで、はしゃいでいただけってこと。