わたしのピンクの錠剤
「実はね、今日、あいかちゃんのことを思い出していたのよ」
わたしはまだ取り乱したままで返事もままならない。
「あの人が出てたのよ、今朝のニュースに。仙台で殺されたんだって」
「あの人?」
仙台で殺されたって言葉に反応して、全神経が研ぎ澄まされた。
「製薬会社の人だったかしら。あたしに母子手帳の話を持ちかけた人」
あの男だ。
「あいかちゃんから電話がきた時にはびっくりしたわよ。偶然ってあるものなのねぇ」
「その男のことはお父さんも知ってるんですか?」
「えっ?」
急に電話先の声がくもった。