わたしのピンクの錠剤
「じゅ、じゅういちって・・」
親父はわたしの言葉をぞんざいにさえぎった。
「なんで黙ってたんだ。そういうことは早く言え」
親父に責められ、胸が熱くなり、止めどなく涙があふれ出る。
しゃくり上げるように言う言葉は、言葉にならない。
「じゅういちって・・、じゅういちって・・」
「バカみたいに、じゅういち、じゅういち、言うな。今は生理の話だろうが」
親父は立ち上がり、身構えるわたしを無視して、玄関に向かった。
わたしのうしろで、ドアの激しく閉まる音が響いた。