わたしのピンクの錠剤
 
先生はわたしをちらっと見て、すぐに視線を戻した。

「それで、どうなんだ」

「バカなこと言わないでください。性的虐待なんて、あるわけないでしょ」


先生がじっとわたしを見ている気がする。


 表情を変えると親父が疑われる。


そう思うと、なおさら表情がこわばり、先生を見ることさえできない。



「あいかちゃん、大丈夫?」

先生はわたしに声を掛け、目を合わすとにっこり笑った。


 
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