わたしのピンクの錠剤
「初めて来たところなのに、見たことのある景色だって経験、あるだろ」
「ああ、それって前世の記憶でしょ」
「前世?そうきたか。前世を信じてるのか?」
「そういうわけじゃないですけど・・」
「世界の人口の変遷を知ってるか?ここ40年で倍になってるんだよ。つまり、人口の半分33億人の前世は存在しえないんだ」
「前世は100年前とか、200年前なんじゃないですか」
「100年前だと人口は今の3分の1にも満たない20億、200年前だと10億しかいない。更に2000年前だと2億、10万年前だと0だ。ひとりもいない。前世の存在なんてナンセンスだと思わないか」
「はい、すいません。その通りです」
「それより、親とか、祖父母とか、先祖の記憶だと考える方がずっと自然なんじゃないかな」
「記憶がDNAに・・・」