わたしのピンクの錠剤
 
「もちろん患者の全部とは言わない。というか、ほんの一部にすぎないだろう。だけど、先祖の記憶を人格のひとつとしてる患者が間違いなくいるんだ」


 なんだか、頭がくらくらする。


「あいかちゃんはその可能性があると思ってる」


 あーっ、頭が痛い。


「あいかちゃん、大丈夫?」

先生はわたしに声を掛け、目が合うとにっこり笑った。


 ん?何を期待してるの?


親父もきっとそう感じたんだろう。

憤懣やるかたない表情で先生を睨んだ。


「立花さん、もしかして、この子を挑発してるんですか」


 
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