わたしのピンクの錠剤
わたしと私
 
気付くと、さっきまでの頭痛が嘘のように消えている。

私は記憶が途切れなかったことに内心ホッとしていた。

親父は先生に対して不信感をあらわにしていた。

「そう、カッカするなよ。原因がわからなきゃ、対処の仕様がないだろ」

「だからといって・・」


「親父、もういいよ」


私が割って入ると、いきなり親父が振り向いた。


「おまえ、あいかじゃ、ないな」

「な、なに?・・あいかだよ」


「ウソつけ。あいかは親父なんて言わないんだよ。あいかなだろ」

「あいかな?」


みるみる目頭が熱くなっていく。

不思議な感覚。


「どうして、そんなこと言うの?あいかなって誰なの?」


涙があふれてきて、止まらない。


私はふっと気付いた。




わたしが・・・いない。


  


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