わたしのピンクの錠剤
本当は口にするつもりじゃなかった言葉なのに、ついつい口から飛び出していた。
「わたし」がいないってことは、つまりこういう事だった。
しかし、それは同時に身体を自分で操れるってこと。
あはは、ちょっと嬉しい。
ていうか、かなり嬉しい。
喜んだのもつかの間、親父の平手が飛んできた。
私は自分でも驚くほどの機敏さで腕を立てて防ぐと、そのまま立ち上がった。
「短気は損気だよ」
私はそれだけ言うと親父のサンダルをはいて外に飛び出した。