わたしのピンクの錠剤
唐突に記憶が頭をかすめていた。
学生服の男子。
ふたつに折れた万年筆。
そして、セーラー服姿の私がいた。
「短気は損気だよ」
私は顔のはっきりしないその男子に向かって、そう口にした。
ぼやけた記憶は荒唐無稽。
1時間前の私なら、「あり得ない」ものだった。
でも、・・・。
これって、お母さんの記憶なの?
すぐに家に帰って先生に聞いてみようかと思った。
だけど、先生に利用されるのはシャクだった。
それに、まだ親父には会いたくなかった。