わたしのピンクの錠剤
 
あたりは真っ暗になっていた。


行く当てなんか無い。

唯一あるとすれば、美智子先生のところ。


でも、美智子先生は行方不明と聞かされていた。

それでも、他に行くところなんてなかった。



とぼとぼと先生のマンションへ向かって歩きだした。


途中、例の公園に差し掛かる。


そこには警察の黄色い規制線が張られていた。

確認したのはよかったけれど、とても近くを通る気にはなれない。

仕方なく、大きく回り道をした。


殺人事件のことが頭から離れなかった。

親父には自首を勧めるべきだと、ちゃんとわかっている。

でも、親父が捕まったら、私は即、路頭に迷うってこともわかっていた。


 
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