わたしのピンクの錠剤
 
ふたりを見送り、ふっと殺人事件のことが思い出された。


なんて私はバカなんだろう。

私は小さいため息をつく。


医者に戻るとか、そんな話をしてる場合じゃなかったんだよね。


当初、あの殺人事件は学校でも話題になっていた。


それでも、時が経つほどに語られなくなり、今では誰も話をしない。


このまま、何も変わらずに忘れ去られてしまえばいい。

ただただ、そう願うだけだった。


 
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