わたしのピンクの錠剤
土曜日の朝早くに加藤先生の車で出発した。
事故と聞いたとき、何の疑問も持たずに交通事故とばかり思っていた。
でも、詳しく聞くとそうじゃないらしい。
問いただしてみても加藤先生はあやふやな返事しかしない。
交通事故じゃなかったら、どんな事故があるっていうの?
車の中は変な沈黙が続いた。
居心地が悪くて、息苦しい。
「先生は結婚しないんですか」
「するつもり、なんだけどな。なんだか、美智子先生、すっかり変わっちゃって・・。小田さんに会えば、少しは元気になると思うんだけど・・」
変わらず重たい空気がよどんでいた。