わたしのピンクの錠剤
どうして、こうなったのか、わからなかった。
わかっているのは、もう二度と先生が髪を梳かしてくれないってこと。
そういえば、夕食を作り始めたのも先生のお陰だった。
先生にもらった料理本で、今じゃ自分でおかずも作れるんだよ。
先生がいたから、生きてこれたんだよ。
先生に好かれたくて、頑張ってきたんだよ。
私が死んだら、悲しんでくれるかな?
ひどいことを言ってごめんねって、言ってくれるかな?
悔しくて、悔しくて、右手で顔をくしゃくしゃにした。
くしゃくしゃにしながら、歯を食いしばって、涙をこらえた。
それなのに、後から後から熱いものがこみ上げてくる。
ずぶ濡れで、情けなくて、哀しくて、どうしようもないぐらいみじめだった。