わたしのピンクの錠剤
もう、歩けなかった。
立っている気力もなかった。
橋の欄干に寄りかかるようにしゃがみ込んだ。
寒い。
唇の震えが止まらない。
橋の欄干を飾る銀色の魚が二匹、目の前に泳いできた。
「魚くん、こんなところで何してるの?」
『お嬢ちゃんを待ってたんだよ。いっしょに海に帰ろう』
「こんな私にも帰るところがある?」
『もちろんだよ。さ、帰ろう』
「うん」
私は魚たちの後を追いかけた。
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