わたしのピンクの錠剤
 
「お父さんも心配してたわよ」

急に現実に引き戻された。


そりゃぁ、親父は心配してるだろう。



でも、それはあいかのこと。

私じゃなくて、わたしのこと。


あぁ、思い出したくないのに思い出してしまう。


「親父は?」

「おやじ?・・お父さんは今、転院の手続きをしてる」


「来てるんだ」

「当たり前じゃない」



陽子さんは少し怒ってみせた。

「ちょっと待ってて、呼んでくるから」


 
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