淫らな眠りへの誘い
桜の花びらが舞う桜の木の下・・
それは夜だったそうだ・・
酒を覚まそうと歩いていると人影が見えた。
何をしてるの?青はその人影の人物に声をかけた・・
青を見たその少女は泣いてるようだった。
青ははっとした・・その少女はとても美しかった・・
色が抜けるように白く・・切れ長の綺麗な目・・
唇はふっくらとして赤かった。
そしてなにより青を見て恥ずかしそうに目を伏せた。
そんな控えめな表情が愛らしく思えた。
でもこの子も純粋に見えて私を求めてるんだろうと・・
でも少女は違った・・
「先輩に叱られて・・でも・・夜桜が綺麗で気が晴れました。
お、お休みなさい」急いでいこうとした。
「また・・会える?」「えっはい・・」
頭を下げていってしまった。
どうしてあんなこと言ったんだろう?会いたいみたいじゃないか・・
それから青は毎晩のように
桜の木の下で女の子と会うようになり色々な話をした・・
青にとっては初めてのこと・・幸せな時間だった。
女の子は名前を桜花(おうか)と言った・・
彼女は貧しい家の出で巫女だった・・神に身を捧げた少女だった。
だから彼女は純潔を守れたのだろう・・誰もが心惹かれる容姿だったから
縁談話は進んでいた・・そしてあと数日で婚姻の日
少女にお別れを言いに行った。あなたの幸せをお祈りしてますと涙を流しながら言う少女を青は気持ちを抑えきれず抱いてしまった。
それは今まで感じたことのない愛しいという気持ち・・
桜花は巫女・・許されない罪をおかさせてしまった・・
全てを捨てても一緒に償っていきたい・・
青は動揺し、結婚を後悔した。
その動揺を結婚相手に知られてしまった・・理由も・・
娘は少女が邪魔になった。少女がいるために自分を愛してくれないんだと・・
汚してやろうと・・男たちを使って・・
純潔を守れなかった巫女は神殿を追われる・・ちょうどいい・・
男達に崖に追い詰められた少女は
「罰は私が受けます・・青様お幸せに」と言葉を残して崖から身を投げてしまった。
巫女を殺してしまった恐怖心から男たちの一人が青に告白したそうだ・・
少女に会えない悲しみがどんなに愛していたか改めて気づかせた・・
弱った心は体から抵抗力を奪い青は流行病にかかってしまった。
死の床で青は祈った。生まれ変わって少女に会いたい・・添い遂げたいと・・
声が聞こえた・・いつの日かまた会える・・あなたは何度も生まれ変わる・・
動物に生まれ変わるときは協力するものが生まれる・・
少女もどこかで生まれている・・それは違う動物かもしれない・・
でもいつか一緒になれる・・
そう声は言ったそうだ・・
青は前世の記憶を持って何度も生まれ変わっている・・
そして今は猫に生まれ変わった・・そして協力者は僕・・



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