アフターストーリー~春河家のドタバタな日常~

そんな正嗣に、凛香と月見はそう声をかけると両手を掴んで車の後部座席に押し込んだ。


「今から行くぞ!しっかり捕まっとけ!」


そういうと、凛香はアクセルを思いっきり踏み込んだ。すると、車のタイヤが赤い炎に包まれ、ものすごい勢いで空に上がっていく。


「姉さん!町までの道、すべて通行止めにしてやりましたぜ!」
「思いっきり突っ走ってくだせい!姉さん!」


正嗣が窓の外を見ると、車の周りに鴉天狗達が大きな扇を持って待っていた。


「旦那!まだ生きててくだせぇ!」
「また、俺達の話、聞いてくださいよ!」
「今死なれたら困りますぜ!みんなそう思ってますから!」


正嗣が窓を開け、顔を出すと・・・

たくさんの妖怪達が家から山の頂上までぎっしり。みんな正嗣達に向かって手を振っている。


「みんな、おぬしのこと心配しておったんだぞ、ずっと。」
「みんな、正嗣のこと家族みたいに思ってるんだから!しっかりしてよ。」

「俺達には、こんな形でしか元気にさせられない。」


車のカーナビ部分から低い声がする・・・。

< 124 / 290 >

この作品をシェア

pagetop