アフターストーリー~春河家のドタバタな日常~
薬湯
「どこ・・・ここ・・・」
椿が眼を覚ました世界は、真っ黒で何もない世界だった。自分の手さえも見えない黒・・・
「何も見えないよ・・・どうしたらいいの?」
“ツバキ・・・ダイジョウブダカラナ・・・”
どこからともなく緑涼の声がする。椿は、耳を澄ましながら声のする方向を探すが、視界が暗すぎてわからない。
“ミスズ!ヤクユデキタゾ!”
“アリガトウ!ツバキ、クスリノモウナ。ハヤク、ゲンキニナロウナ。”
「薬・・・さっき飲んだのに・・・何で?」
数秒後、椿の視界が少しずつ明るくなっていく。視線の先には、緑色の小さな川が出来上がっていた。
“ツバキ!モドッテコイ!”
“ミンナマッテルベヤ!”
風燕と火燐の声が、川の上流から聞こえてくる。椿はその方向に足を向けて走り出した・・・。