磯野くんと花沢さん
木曜日と金曜日の起伏
それは突然だった。
でも突然と呼ぶには、あまりに自然であって、必然でもあり…。
花子じゃなくて良かった。
なんてことを考えながら、4階まで駆け上がる。
でも待てよ。
花沢さんの名前が花子だって、誰が知ってる?
荒い息に気づかぬよう、考え事をする。
そうすると、屋内の練習も耐えられる。
雨は嫌だ。
ボールに触れないから。それは、バレーボールに限らず、体育館から弾き出された、野球のボールも同じこと。
登りがバレーボール部。
下りが野球部。
3階の踊り場を曲がった時、下りてくる磯野君が見えた。
磯野君なら知ってたりなんかして。
そう思うと、なんだか可笑しくて、基礎トレーニングも苦ではない。
ああ、終わった。
苦ではないけれど、体は崩れ落ちる。
わたしが膝をついた、その時。
「ん」
「ん?」