磯野くんと花沢さん
土曜日という名の魔物
まだ熱は下がらない。
病院の薬を飲んだから大丈夫だろうけど、頭がボーっとする。
きっと心配してるな。
自分のせいだと思ってるかもしれない。
いや。
そう思っていてほしい自分がどこかに、いやいや、ココにいる。
此処で唸っている。
少しでも俺のことを考えていてくれるといい。俺が考えているみたいに。
それとも、なんとも思ってなかったりして。
俺の一方的な思い込みで、ただの惨めな片思いだったりして。
ああ、俺はなんて情けない男なんだ。
情けない情けない情けない‼
「次郎‼花沢さんよー‼」
誰だよ、花沢って。
「花沢さんがお見舞いに来てくれたわよー‼」
だから花沢って誰だっての。
ベッドから起き上がり、一階に下りる。
ああ、そうか。
花沢さんか。
階段の途中で止まった。
花沢道子が玄関に居たからだ。
ちなみに、あの花沢さんの名前は花子だ。